こんにちは。
横濱元町会計事務所の代表・松村です。
前回、調査官には件数のノルマがあるとお伝えしました。
では、調査官には追徴税額のノルマがないのであれば、なぜ無理やり追徴税額を課そうとする調査官がいるのでしょうか。
(全員ではありません。あくまで一部です。)
実はこれにカラクリがあります。
税務調査で調査官は件数のノルマを負っているのですが「評価」は別に行われているのです。
調査官の評価
調査官も公務員というサラリーマン。
しかし、他の国家組織と違うのは、完全な年功序列で昇進昇格するのではない、ということです。
主な評価基準は、次の2つとされています。
1.贈差所得の金額
調査官は、今まで担当した税務調査でどれだけの増差所得(税務調査前と後で、利益の金額がどれだけ変わったのか)で評価されており、その金額が大きければ大きいほど昇進昇格が早くなり出世できるのです。
要は多く否認できれば、評価が高くなる、出世できると言うことです。ここでもう一つ注意が必要なのは、「いくら税額を追徴できたか」ではなく、「いくら否認したか」で評価されるところです。

税額が評価基準となると赤字法人で否認をしても評価には結びつきません。(否認しても赤字と相殺されて追徴税額は出ませんから。)
それでは赤字法人は調査の対象になりづらくなってしまいます。
しかし、赤字法人といっても経費を不当に水増ししているところもあるでしょう。
赤字法人でも税務調査の対象から除外させないことも贈差所得が評価基準としている理由の一つと考えられます。
ですから、うちは赤字だから調査は来ないと思うのは非常に危険です。
多く税金を払っているから来づらいのではないかと聞きますが、黒字で税金を多く納付している法人も同じです。
評価基準は、「否認額」なのですから。
普段から適正な税務処理をしておくことはどの法人も必要なのです。

2.不正発見割合
調査官の評価はもう1つあります。それは「不正発見割合」です。
簡単にいうと、悪いことをしている=脱税している会社を見つけた割合なのですが、具体的には、重加算税を課した割合です。
税務調査を10件行い、3件重加算税を課したとすると、30%の不正発見割合ということになります。
この不正発見割合が高い調査官も評価され、早く出世することができます。
ここで注意が必要なのですが、評価を上げるためか、実際には誤りがなくても「これは経費にできませんね」、「これは売上の計上時期がズレていますね」と平気で言ってくることもあります。
(あくまでそういう経験があっただけで一部の調査官と思いますが。。。)
本当に誤りがあるのであれば、当然修正すべきですが、誤りもないのに無理やり指摘してくることに対しては、断固として反論すべきです。また昔から、「税務調査ではお土産が必要」と言われます。
お土産とは、税務調査で何も誤りがない場合に、調査官としては税務署に帰りづらくなってしまうので、わざとこちらから誤りの箇所を調査官に教えてあげる、また本当は間違っていないのに、修正申告をしてあげる行為を指しています。
確かに調査官は、誤りを見つけて評価されているわけですから、確かに何も誤りを発見できなければ、気まずい思いをしているのでしょう。
しかし、これでは何のための税務調査かわかりません。
調査官の評価など気にする必要はありません。
お土産を渡すことなど考える必要などないのです。
当事務所での税務調査の立ち会いでは、適正な修正があればもちろん応じますが、お土産を渡すことは断じてありません。

